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コラム

2021.10.14

【ファクタリングは違法ではない!】悪徳業者の事例と騙されない方法を解説

ファクタリングという言葉を知っている人の中には、
「ファクタリングって違法じゃないの?」
「騙されそうで怖い…。」
と思っている方も多いようです。
しかし、ファクタリングは違法ではなく合法の金融サービスの一つで、近年注目されている資金調達方法なのです。
そこで今回は、ファクタリングが違法ではない根拠をお伝えするとともに、悪徳業者の事例と騙されない方法について解説します。

1. ファクタリングのサービス内容について確認

欧米ではメジャーな資金調達方法の一つであるファクタリングが、近年日本でも注目されるようになりました。

ファクタリングは、ファクタリング企業が売掛債権を買い取る金融サービスのことです。利用企業は手数料を支払うことで、売掛金の回収期限前に最短即日で現金化することができるため、急ぎ手元資金が必要な場合に活用されています。融資と違って保証人や担保が不要で審査も厳しくないことから、融資を断られて困っている場合の選択肢にもなるのです。

また、ファクタリングは基本的にノンリコース(償還請求権がない)契約のため、売掛債権は完全にファクタリング企業の所有となります。もし売掛債権の回収ができなかったとしても、利用企業は売掛債権を買い戻す(返金する)責任はありません。

ファクタリングをうまく活用することで資金繰りが改善できたり、黒字倒産のような最悪の事態を防いだりすることができるのです。

2 ファクタリングが違法ではない根拠

ファクタリングはまだ認知度が高くないため、違法な取引ではないのかと不安になる方も多いようですが、合法の金融サービスです。

この章では、ファクタリングが違法ではない法的根拠をご紹介します。

2-1 3社間ファクタリングの場合の法的根拠

3社間ファクタリングが違法ではない法的根拠となる民法は、第466条と第467条です。


・民法第466条(債権の譲渡性)

①債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
②前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。


民法第466条には、「債権は譲渡できる」と示されており、譲渡に際して基本的には売掛先の承諾がなくても自由に売買できることがわかります。この時点で、ファクタリングは合法であるといえるでしょう。

しかし、2つ目にあるように当事者同士では有効となりますが、売掛先(債務者)や第三者に対しては有効ではありません。このままでは、利用企業が1つの債権を複数のファクタリング企業に譲渡するという不正ができてしまいます。

そこで必要となるのが、「対抗要件」です。それについては、次の民法第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)に示されています。


・民法第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)

①指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ債務者その他の第三者に対抗することができない。
②前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができます。


民法第467条の中で、「対抗要件(債権者が自分であるという主張に必要な手続き)」について、「債権者から債務者への債権譲渡の通知」または「債務者の承諾」が必要と示されています。また、この通知や承諾は「確定日付のある証書」によって行わなければならないとしています。

これらの手続きを行なって、売掛先(債務者)が誰に支払いをすれば良いのか(債権者が誰なのか)を明確にした上で債権譲渡を行うことは、3社にとって安全な取引であるといえるでしょう。

2-2 2社間ファクタリングの場合の法的根拠

民法第466条よると債権は売掛先の承諾がなくても自由に譲渡できるものの、実際の売買には承諾の必要性があることが民法第467条からわかります。

しかし2社間ファクタリングは売掛先の承諾が不要な方法であることから、違法性があると考える方も多いようです。

2社間ファクタリングが違法ではない法的根拠となる民法は、第555条です。


・民法第555条(売買契約)

売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。


債権は売掛先の承諾がなくても自由に譲渡できるものであるため、そもそも売掛先に承諾を得ないことは違法ではありません。

その上で、ファクタリングでは債権を譲渡した対価として金銭を得るため、民法第555条に示されている売買契約に該当します。持っているもの(この場合売掛債権)をいくらで売るのかは個々の自由です。お互いが同意しているのであれば、100万円の売掛債権を70万円で売却しても、極端な話10万円で売却しても違法ではないのです。

3 違法性のあるファクタリング(悪徳業者の事例)とは?

ファクタリング自体は合法ですが、ファクタリングと名乗りながら違法性があるサービスや、悪徳業者によるサービスも存在しています。

違法性がある(悪徳業者の可能性がある)5つのケースをご紹介しますので、騙されないように注意しましょう。

3-1ファクタリングを装って高利貸しを行っている。

貸金業には貸金業法が適用されるので、金利を20%以上にすることができません。そこで悪徳業者が貸金業法が適用されないファクタリングを装い、より高い金利でお金を貸している場合があるのです。これはいわゆる“ヤミ金”にあたり、違法行為です。

3-2分割買取を行っている。

売掛債権は分割買取ができませんので、全て一括買取です。分割買取の場合は債権譲渡担保付きの貸付(融資)とみなされますので、ファクタリングではなく貸金業となります。その場合、業者には貸金業登録が必要です。

3-3分割返済ができる。

ファクタリングでは分割買取ができないのと同様に、分割返済もできません。

分割返済ができる場合は債権譲渡担保付きの貸付(融資)とみなされ、こちらもファクタリングではなく貸金業となります。

3-3償還請求権がある(手数料は償還請求権なしと同等)。

償還請求権がない(売掛債権が未回収の時に支払う責任がない)ことから、ファクタリングでは手数料が高めに設定されています。しかし、償還請求権がある契約でありながら、手数料は償還請求権がない契約と同等に設定している悪徳業者があります。

これはファクタリングではなく、債権譲渡担保付きの貸付(融資)であるとみなされる場合もあり、違法性のあるケースです。

3-4保証人や担保を求める。

ファクタリングは売買契約ですから、保証人や担保は必要ありません。保証人や担保が必要となれば、それは金銭消費貸借契約となり、業者側には貸金業登録が必要になります。

3-5給与ファクタリングを行っている。

ファクタリングという言葉を、「給与ファクタリング」の存在によって知った方もいると思います。給与ファクタリングは、将来的に支払われる予定の給料(労働債権)を買い取るサービスとして提供されていました。

しかしこの「給与ファクタリング」は通常のファクタリングとは異なり、違法です。警視庁でも貸金業登録をしていない業者の給料ファクタリングは違法であると断定し、注意喚起を行っています。

4 ファクタリングの悪徳業者に騙されない方法とは?

初めてファクタリングを活用したいと考えるタイミングでは、少しでも早く現金を手に入れたいと焦ってしまっていることが多いものです。そのような状況では、悪徳業者に騙され易くなってしまいます。

慌てて契約をせず、今からご紹介する3つのポイントを意識してファクタリング企業を選んでください。

4-1契約内容は一つ一つおかしい点がないか確認する

契約の際には、一つ一つおかしい点がないか、契約内容をよく確認しましょう。

悪徳業者はわざと確認事項を多くして、利用者に不利な条件が分かりにくいようにしている可能性もあります。

特に意識して確認していただきたいのが、以下の6点です。

①売買契約になっているか

ファクタリングは売買契約であり、金銭消費貸借契約ではありません。売買契約ではないファクタリングは違法です。

②償還請求権がなしになっているか

償還請求権が設定できるのは貸金業登録のある業者のみです。

償還請求権がないからこその高い手数料ですから、償還請求権があればファクタリングの利用価値が激減します。

③担保や保証人を求められていないか

担保や保証人が必要なのは金銭消費貸借契約ですから、売買契約であるファクタリングで担保や保証人を求められるのはおかしいです。

④債権譲渡通知がなしになっているか(2社間ファクタリングの場合)

2社間ファクタリングでは、売掛先に知られずに債権譲渡ができることが大きなメリットであり、そのためにも3社間ファクタリングより高い手数料を支払っているのです。債権譲渡通知がなしになっているか、必ず確認しましょう。

⑤手数料が高額すぎないか

2社間ファクタリングの手数料の目安は1〜10%程度、3社間ファクタリングの場合は10〜30%程度です。ファクタリングの手数料に法的な上限はないので、これを超える手数料の場合は必ず悪徳業者だというわけではありませんが、注意して契約内容をチェックした方が良いでしょう。

手数料がいくらであっても、明確な手数料を提示した上で、丁寧に説明をしてくれる企業を選ぶことがポイントです。

⑥不当な項目はないか

その他、何を意味しているのかわからないような不当な項目がないかチェックしましょう。不明な点があれば、納得がいくまで確認してください。

4-2契約書の写しや領収書は必ず受け取る

契約書の控えや領収書を渡さず、利用企業の手元に証拠を残さない、詳細が確認でいないようにする悪徳業者もいます。契約後に、契約内容を書き換えられてしまうリスクもあるでしょう。契約書の写しや領収書は必ず受け取ってください。

4-3担当者が曖昧な説明をした場合は、内容がはっきりするまで絶対に契約しない。

担当者の態度にも、信頼できる企業であるか判断するヒントがあります。質問に対して曖昧な説明をした場合は、何かごまかしていることがあるかもしれません。内容がはっきりするまで絶対に契約しないようにしましょう。

また、

「今契約しないで間に合うんですか?」「別にうちは(契約しなくても)構わないんですよ。」など、焦らせたり、高圧的な態度だったりする場合も注意が必要です。

必要に応じて別のファクタリング企業との契約を検討しましょう。

5 まとめ

ファクタリング自体に違法性はありませんが、残念ながら悪徳業者による被害も出ているのが現状です。 ファクタリング企業と契約する際は、契約書類をよく確認し、控えは必ず受け取ってください。また、誠実に対応してくれる担当者かどうかも大事なポイントです。なんとかして早く資金調達をしたいと焦る気持ちはあると思いますが、落ち着いて判断し、信頼できるファクタリング企業と契約をするようにしてくださいね。