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コラム

2022.01.17

ファクタリング手数料の相場と決定要因について

ファクタリングは、売掛債権を買い取ってもらうことで、最短即日で現金化できる資金調達方法として近年注目を集めています。手数料はかかりますが、融資と異なり無担保無保証人で利用でき、万が一売掛金が回収できなくても責任を負う必要がないことから、利用価値の高い資金調達方法であるといえます。
そうはいっても、やはり気になるのは手数料のことではないでしょうか。 そこで今回は、ファクタリング手数料の相場と決定要因について解説します!

1 ファクタリング手数料の相場

代表的なファクタリングには、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングの2つがあります。この2つは同じファクタリングでも一部異なる特徴を持つため、手数料にも大きな違いがあります。

この章では、それぞれの手数料相場と特徴について解説します。

1-1 3社間ファクタリングの場合の手数料相場

3社間ファクタリングの場合の手数料相場は、1〜10%程度です。

2社間ファクタリングと比べると、手数料は安く設定されています。

3社間ファクタリングは利用企業とファクタリング企業の他に、売掛先も加えた3社間で契約を行います。そのため、売掛先からファクタリング企業に直接売掛金が支払われる流れになり、利用企業が支払われた売掛金を使い込んだり持ち逃げをしたりすることがなくなるので、ファクタリング企業にとってリスクが低い取引なのです。

3社間ファクタリングを利用するときに知っておきたいポイントは

・売掛債権譲渡を、売掛先に通知・承諾してもらう必要があること

(契約に際し、売掛先に手間をおかけすること)

・資金調達までに比較的時間がかかる(1週間程度)こと

が挙げられます。

1-2 2社間ファクタリングの場合の手数料相場

2社間ファクタリングの場合の手数料相場は、10〜30%程度です。

3社間ファクタリングと比べると、手数料は高く設定されています。

2社間ファクタリングは利用企業とファクタリング企業のみで契約を行います。そのため、売掛金は売掛先から利用企業側へ支払いが行われ、その後に利用企業からファクタリング企業側へと支払いが行われます。ファクタリング企業としては、利用企業が支払われた売掛金を使い込んだり持ち逃げをしたりするリスクが残るため、その分手数料が高く設定されているのです。

2社間ファクタリングでは、売掛先に売掛債権譲渡の事実を知られることなく、手間を取らせることもなく、最短即日で現金化ができるため活用しやすい方式であるといえますが、手数料が比較的高いことは理解しておく必要があるでしょう。

2. ファクタリング手数料の決定要因

ファクタリングの手数料は、ファクタリング企業や契約内容によって異なります。

どういったことが要因となって手数料が決定するのか…決定要因を理解し、納得できる契約をしましょう。

2-1利用するファクタリングの種類

手数料の差が最も大きくなる要因は、ファクタリングの種類です。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは、ファクタリング企業が負うリスクの大きさが異なりますので、よりリスクの大きい2社間ファクタリングの方が、手数料相場が10〜30%程度と高くなっています。

次で詳しくお伝えしますが、ファクタリングの審査では利用企業よりも売掛先の信用力が重要となります。しかし、2社間ファクタリングでは利用企業の支払い能力も審査の対象となり、手数料の決定にも関連します。3社間ファクタリングでは、売掛先から直接ファクタリング企業へ入金されるため利用企業の支払い能力はほとんど関連しませんが、最終的には利用企業からファクタリング企業への支払いとなる2社間ファクタリングでは、受け取った売掛金をきちんと支払うだけの支払い能力が利用企業にあるかどうかも、重要なポイントとなるのです。

2-2売掛先の信用力

融資は融資先(利用企業)の信用力が最も重要な指標となります。しかしファクタリングの場合、ファクタリング企業が買い取った売掛債権を現金化するのは売掛先です。

そのため、売掛先の信用力が高ければ手数料が安くなり、低ければ手数料が高くなるのです。

これは、審査の厳しさと関連していると捉えることもできます。

審査が厳しいファクタリング企業であれば、未回収リスクが低い案件を扱うこととなり、取り扱う案件の手数料相場は安くなります。一方で審査が甘いファクタリング企業は未回収リスクの高い案件も取り扱いますので、結果的に手数料が高くなるのです。

2-3売掛金の額

売掛金の額、すなわち売掛債権の譲渡額が多ければ手数料が安くなり、少なければ手数料が高くなります。

なぜなら、売掛金の額が多くても少なくても、ファクタリング企業が行う作業工数(人件費など)はほとんど変わらないからです。売掛金の額が少ない場合に手数料を低くすると、作業工数に見合った利益を得ることができませんので、手数料を高めに設定しなければならないのです。一方売掛金の額が多い場合は、手数料を低くしても、作業工数に見合った利益を得ることができるわけです。

2-4売掛先との取引期間

利用企業と売掛先との取引期間が長ければ信頼性が増し、債務不履行リスクが低くなると考えられますので、手数料が低く設定されます。

初回の取引や、まだ数回しか取引がないという売掛先の場合は評価が低くなるので、手数料が高くなります。

2-5ファクタリングの利用実績

ファクタリングの利用実績が多いということは、ファクタリングでのトラブルが発生していない、安心して取引ができる企業であると判断できます。

そのため、利用回数が多ければ多いほど手数料を低く設定してもらいやすくなるのです。

一方で初回利用の場合は、手数料が高くなってしまうことになります。これは、初回取引のリスクが高いことに加え、初回は売掛先企業の信用調査に手間と時間がかかることも関係しています。

こうしたことから、2回目の取引からは手数料が大きく下がることもあります。

2-6ファクタリング企業のサービス内容

ファクタリングは売掛債権を買い取るサービスには違いありませんが、細かいサービスの違いによって、設定される手数料のベースに差が生まれる可能性があります。

例えば、面談をオンラインで行っている場合は、対面で行っている企業よりも効率よく対応ができるため、手数料を安く設定している可能性があります。また、審査をどれくらい入念に行っているかが手数料に影響することもあります。

2社間ファクタリングの場合であれば、売掛先への承諾を得るのが利用企業なのか、ファクタリング企業なのかというサービスの違いも考えられるでしょう。

その他、ファクタリングは上手に運用しなければ資金繰りの悪化を招く恐れもあることから、財務コンサルティングサービスを提供している企業もあります。この場合、コンサルティング費用も合わせて請求されることがありますので、サービス内容もよく確認しておくと良いでしょう。

2-7各種費用が含まれているかどうか

手数料には、諸費用が含まれているファクタリング企業と、諸費用は実費請求としているファクタリング企業があります。

前者の場合は、諸費用がかからない分、手数料が高くなっています。手数料だけを比較して低い方に決めると、最終的な支払額が手数料の高い企業を上回る可能性もあるのです。諸費用が実費請求となっている場合は、具体的な費用について確認しましょう。

3. ファクタリングの手数料以外にかかる可能性がある費用

ファクタリング企業によって、手数料以外の費用は一切かからない場合と、それ以外の費用が実費請求される場合があります。

どの費用がかかるかは契約内容によって異なりますが、この章では必要となる可能性がある費用についてご紹介します。

諸費用も含めた総合的な費用で比較検討するためのヒントにしてください。

3-1契約書添付収入印紙代(印紙税)

契約書には、収入印紙を貼らなければならないと法律で定められています。そのため、どのファクタリング企業であっても必ずかかる費用となります。

5万円未満は非課税、5万円以上〜100万円以下は200円、100万円を超え200万円以下は400円といったように、決められた印紙税を支払います。

3-2着手金

現状では、着手金が無料であるファクタリング企業が多くなっています。

ファクタリングを利用するにあたり、別途財務コンサルタントなどに依頼をする場合は、その着手金がかかる可能性はあります。

3-3事務手続き費用(審査手数料)

事務手続き費用も、無料であるファクタリング企業が増えています。

審査などにかかる人件費については、手数料として得た利益分をあてるという考え方が主流になってきているためです。

事務手続き費用を取る場合でも、5000円程度が相場でしょう。

3-4出張費用

遠方から出張をしてきてもらう場合、その出張費として交通費や宿泊費を実費で請求される可能性があります。

出張費はそれなりに費用が嵩む場合があるので、よく確認しておきたいポイントの一つです。

3-5債権譲渡登記費用(登録免許税+司法書士への報酬)

債権を譲渡する際の登記に必要な費用です。ファクタリングの契約内容によって、登記する場合としない場合があります。

債権譲渡登記には7500円、債権抹消登記には1000円が必要です。

債権譲渡登記費手続きを司法書士や弁護士に依頼する場合には、報酬が別途必要になります。

2-6公正証書の作成費用(司法書士への報酬)

3者間ファクタリングでは、売掛先に対して売掛金債権が譲渡されることを通知し、承諾を得なければなりません。この承諾を得た証拠については、公正証書を作成することが一般的です。

公正証書の作成を司法書士や弁護士に依頼する場合には、報酬が別途必要になります。

4 まとめ

手数料はファクタリングの種類や売掛先の信用力、売掛債権の額、利用実績などによって異なります。また同じ債権に対するファクタリングであっても、ファクタリング企業によって手数料に違いが出てきます。

手数料は安ければ良いと考えがちですが、手数料を安く見せておいて諸費用を多く取られるというパターンもあるので注意が必要です。

時間が許せば複数の見積もりを取り、手数料や諸費用だけでなく、ファクタリング企業の実績や担当者の対応などもよく見た上で契約先を選ぶことをお勧めします。