2022.11.11
ファクタリングの審査は他の資金調達法と比べて厳しい?
ファクタリングで資金調達を検討しているが審査が通るか不安な場合、資金調達法としてファクタリングが最適なのか、ほかの資金調達法と比べて審査基準がどうなのか気になるところです。
審査基準がほかの資金調達法よりもクリアしやすく、自社の資金調達にも利用できそうな見込みがあるならファクタリングを利用したい方もいることでしょう。今回は、ファクタリングの審査がほかの資金調達法と比べて厳しいのか?というところにスポットを当てて紹介していきます。
目次
1.各資金調達の審査基準
資金調達法には民間金融機関から融資を受けたり、自治体の融資制度を利用したりといくつか方法があります。
はじめに、各資金調達法の種類と審査基準を確認していきましょう。
1-1 銀行融資
金融機関から資金調達をするにあたり、銀行融資は有力な手段です。一般的には、普段から付き合いがある銀行の融資窓口や担当者を通じて行います。
銀行融資にはプロパー融資と信用保証付きの2種類があり、プロパー融資は事業計画書や決算書などをもとに会社の返済能力とリスクを判断します。
金利は比較的抑えることができますが、信用力を問われるため創業から間もない会社はハードルが高くなるでしょう。
信用保証付き融資は、信用保証協会の保証付きで融資を受けます。保証人が必要で、貸し倒れとなった場合は保証人が返済することになります。
同時に信用保証料を支払わなければなりませんが、プロパー融資よりも審査に通りやすい傾向があります。
銀行融資は事業計画書と決算書を重視され、決算書の内容が悪い場合は審査に通りにくくなります。税金の未納などがあると審査に通らないので注意が必要です。
1-2 日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は中小企業を支援する政府の金融機関です。銀行融資に比べて金利が低めで返済期間が長いこと、無担保・保証人なしでも融資を受けられることが特徴です。
一般貸付・セーフティネット貸付・新企業育成貸付・企業活力強化貸付・環境エネルギー対策貸付・起業再生貸付などの種類があります。
審査では事業計画書や資金繰り表、確定申告書や決算書など多くの書類が必要になり、必要書類を漏れなく整備し準備することが重要です。
また、経営者の人柄も見られるので、経営者自身が事業計画を明確に説明できることも重要です。加えて、税金の未納がある場合は審査に通らないので注意が必要でしょう。
1-3 ノンバンク
ノンバンクは貸付のみを行う金融機関で、消費者金融・信販会社・リース会社などが挙げられます。
融資実行までの期間が短い反面、金利が高いことが特徴です。小口の融資となるのでまとまった金額を用意したいときには向かないでしょう。
審査では会社の業績や信用力を判断し、過去の借入や税金滞納の有無などもチェックすることがあります。
1-4 自治体の制度融資
精度融資は、地方自治体が窓口となる信用保証協会の保証を得て指定金融機関から融資を受ける制度です。
保証料を支払わなければなりませんが、金利を抑えられることが特徴です。信用保証協会が保証人となるので融資のハードル自体は低めでも、融資実行までの期間が長い傾向があります。
審査は直近2年の決算書・納税証明書・事業計画書など多くの書類が必要で、信用保証協会と金融機関の両方の審査に通ることが必要です。いずれかの審査に通らなかった場合は融資を受けることはできません。
1-5 補助金・助成金
補助金・助成金はどちらも一定の要件を満たすと申請でき、補助金は採択されれば支給、助成金は申請のみで支給されます。
どちらも基本的には審査がなく返済の必要もありません。ただ、要件が高めで必要書類が多い・煩雑になることから、税理士などの専門家に相談するケースが多いです。
2.ファクタリングの審査って厳しい?
売掛債権を売却することで早期に資金調達ができるファクタリングは、明確な審査基準が法で定められているわけではなく、各ファクタリング会社独自の基準になります。
特に、売掛金回収のリスクを重視するため、どんな売掛先企業なのかも大事なポイントになります。
ここではファクタリングの審査基準について確認していきましょう。
2-1 売掛先企業の信用力
ファクタリング会社で重視するのは売掛先企業の信用力です。ファクタリング会社にとって売掛金を回収できるか、売掛先企業に支払い能力があるかが重要だからです。
ここではファクタリングの審査基準について確認していきましょう。
2-2 売掛金の支払期日
ファクタリングでは、売掛金の支払い期日も審査基準となり、支払い期日まで短いほど有利になります。
売掛金の支払い期日までの期間が長い場合、売掛金が回収できないリスクが高まるため、支払い期日まで短い売掛債権を利用すると良いでしょう。
2-3 売掛先企業との取引期間
利用会社と売掛先企業との取引期間は長いほど有利になります。取引期間が長ければ、安定して売掛金が回収できると判断されるためです。
具体的な期間は公開されていませんが、利用会社と売掛先企業の付き合いが長いほど良いです。
2-4 そのほかファクタリングの審査で見られる項目
ファクタリングの審査基準は各社独自の基準がありますが、先に述べた基準のほかには次のような基準が挙げられます。
<ファクタリング会社が審査でチェックするその他の項目>
- 利用金額の大きさと利用会社の規模のバランス
- 利用会社の信用力
- 継続的に発生している売掛金かどうか
- 売掛債権の信用性
利用会社の規模に対し売掛債権の金額が大きすぎる場合、ファクタリング会社にとって不安材料となることがあります。
ファクタリング会社としては売掛金の回収することが重要なので、金額によっては本当に高額な売掛金を回収できるのか?と思うところも出てきます。
利用会社の規模と売掛債権の金額があまりにもアンバランスな場合は注意が必要です。
また、一時的に発生している売掛債権より継続的に発生している売掛債権の方が有利になる傾向があります。
長く取引できる取引先を持つ会社かどうかという意味では、利用会社の信用力もチェックされるといって良いでしょう。
ファクタリングの審査では、ほかの資金調達法ほど利用会社の信用力が問われるわけではありませんが、売掛債権の信頼性は重視されます。
売掛先企業との関係性・信頼性によっては、厳しくチェックすることもあるのでその点には注意が必要です。
3.ファクタリングの審査が通らない場合
ファクタリングの審査が通らない場合、大きく分けて売掛債権と利用会社側のいずれかに原因があります。
ここでは審査に通らない理由をチェックしていきます。
3-1 売掛債権に原因がある場合
ファクタリング会社の審査に通らない場合、売却しようとする売掛債権に問題があることが考えられます。
次のような売掛債権は、ファクタリング会社の査定対象外となることがあるので注意が必要です。
ファクタリング会社の査定で引っかかる売掛債権の例 | |
売掛債権に対する信頼性 | 架空の売掛金の疑いがある場合 |
不良債権化している | 財産的価値のない売掛債権 |
未回収リスクが高い | 売掛先企業が赤字続き、民事再生中など |
継続性のない売掛債権 | 新規契約したばかりの初回取引、単発的な取引など |
支払い期日まで期間が長すぎる | 回収リスクが高くなるため |
売掛先企業が個人 | 基本的には売掛先企業は法人 (個人事業主向けのファクタリングもあるが、法人の方が売掛先企業としては信用力がある) |
二重譲渡の疑い | すでに売却済みの売掛債権を別のファクタリング会社に売却することは違法行為 |
債権譲渡特約が禁止になっている | 売掛先企業との契約で再建譲渡禁止特約が付いている場合(民法改正により現在は流動化することは可能でも断られる可能性あり) |
当社では、一部を除く売掛債権の買い取りが可能なので、売掛債権を保有している企業様はお気軽にご相談ください。
3-2 ファクタリング利用会社に原因がある場合
ファクタリング会社の査定を拒否される原因には、利用会社に原因がある場合もあります。
次のような対応がある利用会社は、売掛債権の買い取りを拒否されることがあるので注意が必要です。
ファクタリング会社に買い取りを拒否される利用会社の例 | |
利用会社の身元に問題がある | 身分証明ができない・不正確な身元 |
モラルが低く信用力が低い | 態度が横柄・金銭感覚に問題がある・あまりにも経営状態が悪いなど |
必要書類に不備がある | 必要書類の不備や漏れなど |
売掛先企業から承諾を得られない | 3社間ファクタリングでは売掛先企業に承諾を得られないと手続きできない |
個人事業主 | 個人事業主向けのファクタリングを扱っていない場合は対応不可 |
売掛債権・利用会社のどちらに原因があるとしても、ファクタリング会社の審査に通らなかった場合は、原因を改善するとともにファクタリング会社に対して誠実な対応をすることが大切です。
4.まとめ
ファクタリング会社が行う審査は、買い取る売掛債権の査定でもあり、現金化の可否やお互いの信頼関係構築にも関わる部分です。
そのため、ほかの資金調達法に比べれば利用会社の信用度に重きを置いていないとしても、お互いに不信感のない関係性を構築しなければなりません。
ファクタリングの審査に不安がある方は、事前に通過するためのポイントを押さえて準備を進めると良いでしょう。
監修者:鈴木 孝明
すずき会計事務所 代表税理士。
小規模な法人様や個人事業主様を中心に、街のお医者さんのように気軽に話せる会計事務所です。
すずき会計事務所は、最高の業務品質と心のこもった行動を通じて
お客様の期待を超える満足を追求し、地域社会に貢献します。
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